警視庁のまとめでは、平成26年の「特殊詐欺」被害総額は、約559億4,000万円と過去最悪!なんと年末ジャンボ宝くじ1等(5億円)が111回当たっても満たない金額です…(ここでいう「特殊詐欺」とは、オレオレ、架空請求、融資保証金、還付金等、振り込め類似詐欺のこと)。日頃からテレビや新聞では、いやというほど詐欺被害の情報は入ってくるというのに、どうして人はダマされてしまうのでしょうか?
 今回、新刊JP編集部では、“騙しの現場に突撃潜入”してその手口を探るプロフェッショナル、悪徳商法コラムニストの多田文明さんに直撃!

 1回目は、最新の詐欺の手口と、なぜ人はわかっていてもダマされてしまうかについて。2回目は、多田さんがこれまでの突撃潜入取材の中で体験したことを伺いました。そして今回は、現代のネット社会で気を付けるべき出会い系詐欺と、詐欺商法から身を守る術を教えてもらいました。

◆ネットの出会いは要注意!元ホストや元キャバ譲への恋ゴコロに付け込んだ詐欺

――多田さんがもっとも印象に残っている詐欺の手口はどんなものですか?

多田:やっぱり恋愛感情に絡む詐欺ですね。デート商法といって、恋ゴコロにつけ込んで高額商品を売りつける手口です。私が体験したものは、ある日、アンケートと称して若い女性から電話がかかってきて、楽しい会話をするんです。打ち解けてくるうちに「今度食事しましょう」なんて誘われて、その気になって出かけて行くと宝石店に連れていかれるんですよ。それで140万円もする宝石を買え買えと言われるわけです。渋っていると「宝石には私がついてくるんですよ」なんて結婚を匂わせるようなことを言って買わせようとするんです。これには参りました(笑)

――異性に誘われていい気分になっていたところ、ガッカリしてしまいますよね。その手口は現在も続いているんでしょうか?

多田:今この手の詐欺が、SNSなどインターネットをきっかけに引き込まれるケースが非常に増えています。
ある業者は、元ホストや元キャバクラ嬢など、ルックスのよい人物をSNSに登録させて、異性のユーザーにメッセージを送らせます。「あなたに興味を持ちました。仲良くしませんか?」なんて言って、騙しのきっかけを作るわけです。メッセージを何度かやり取りするうちに「食事でもしましょうよ」と外に連れ出して、デートをさせるわけです。それを2~3回繰り返させてすっかり夢中にさせたところで、「二人の将来を考えるにあたって、老後の生活は大事だよね、などと言って、将来の資産を殖やすためにも、投資とかした方がいいんじゃない?」などと言って騙しに入るわけです。
そうやって投資用マンションなど高額なものを紹介されて、契約させられる。そのうちに異性とは連絡が取れなくなるという手口ですね。これに引っかかると、数千万円のローンや借金を背負うことになるからかなり悪質です。

――数千万円とは恐ろしい金額ですね…。SNSなどを利用するときはどのようなことに気を付ければよいのでしょうか?

多田:現代のネット社会は、「なりすませる」「嘘をついて近づくことができる」ということを前提として使った方がいいですね。メールや電話だけでは、相手が名乗っている通りの人物かどうかなんてわかりませんから。たとえば宅配業者のふりをして電話をかけてきて、「伝票が水に濡れてしまって住所が読めないんです。お荷物を届けたいのでご住所を教えていただけますか?」なんて言われたら、つい教えてしまいますよね?

――確かにそれは教えてしまいそうです。でも、その電話が詐欺だと気づける人は相当慎重な人ですね。

多田:少しでも気になること、違和感を覚えることがあったら「ワンクッション置く」ということが大事です。先ほどの例のように住所を聞かれたりしても「ちょっと待って下さい」とワンクッション置き、相手名を聞き、一端切る。そしてその業者の電話番号を自分なりに調べて、かけ直して本当に宅配業者か確認するなりするといいでしょう。
もっと言えば、「複数ルートで確認を取る」ということですね。去年、「LINE乗っ取り詐欺」(LINEアカウントを乗っ取ってプリペイドカードの番号を盗む手口)が流行りましたが、やり取りしている相手は本当に本人なのか、LINEだけでなく、メールや電話など、複数のルートで確認を取るということです。

――「ワンクッション置く」「複数ルートで確認を取る」をしておけば大丈夫でしょうか?

多田:ある程度は防御できると思います。しかしそれでも、絶対に騙されない人なんていないと思います。人の気持ちって、上がったり下がったりしますよね。心身ともに元気なら冷静に判断できても、何かトラブルに巻き込まれていたり、落ち込んでいたりするかもしれない。そういうときも変わらず冷静に判断できるでしょうかという問題ですね。

――確かにそうですね。人生何があるかわかりませんから…。

多田:ある一流企業に勤めている人が、順風満帆で何も不自由ない人生を送っていました。ところがあるとき会社が傾いて、ボーナスが出なくなって、離婚してしまって、そのうえ家にはドロボウが入って……と不幸が続いた。その方はスピリチュアルにはまったく興味がない人だったんですが、いつのまにか、腕には高額な数珠が……なんていうこともありました。不幸が重って心が弱くなっていると、藁にもすがりたくなることもありますから。そこに詐欺業者が来てしまったとき、冷静に対応できるかどうか。こういうことは誰にでもあるので、ぜったいに今の自分は騙されない!と思っている人も、いざ心が疲弊してしまうと脆いものなんですよ。

――自分は大丈夫と思うことは、隙を作ることにしかなりませんね。「絶対にダマされない人はいない」という意味もよくわかりました。ありがとうございました。

引用元 新刊JP